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格好付けの腐れ縁

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 授業が終わり帰ろうとしたら、雨が降っていた。
「まあ空は明るいし、すぐにやむかな」
 傘を持っていなかった俺は、図書室で時間を潰すことに決めた。「珍しい、本を読みに来るなんて」
 図書員をしているクラスの女子にからかわれたが、気にせず一人がけの席を確保する。珍しいなどと言われたが、授業で必要があっての時しか図書室などに来たことはない。
 来たついでに宿題を片付けることにした。数学のワークブックだ。普段なら家でゲームをしているか漫画を読んでいる時間に宿題を終えてしまえれば、夕食後はだらだら出来るという寸法だ。
 数学は苦手ではないが、得意と言うほどでもない。一時間半ほどかけて宿題の範囲を終わらせた。ついでに英語の予習という、これも滅多にやらないことをやる気になった。

 と、その前にトイレへ。ついでに購買部の前にある自販機でサイダーでも飲んでこよう。図書室は自宅の部屋とは違って、飲食は禁止だ。

 廊下の窓から空を見る。
 先ほどより暗くなった空から、土砂降りの雨が降っている。

 図書室に戻り、英文と格闘すること一時間。下校の放送がかかった。一年半通っている高校だが、これを聞くのは初めてだ。何せ俺は帰宅部、授業が終わればすぐに学校を出てしまう。

 しかし困った。傘がないのに土砂降りだ。これならまだ小雨だった授業の直後に帰ってしまえばよかった。
「珍しいな、お前がこんな時間まで学校に残ってる
なんて」
「雨宿りのつもりで図書室にいたんだよ」
 小学生の時からの腐れ縁の友人が声をかけてきた。生徒会役員様はこの時期、文化祭に向けて遅くまで居残っていらっしゃるのだ。「傘、貸すぜ」
「ありがたい。けどお前は」
「生徒会室に折りたたみ傘を置きっぱなしにしている。持ってくるから先に帰ってくれていいよ」
 俺はその言葉に甘えて、先に学校を出た。

 ……あいつは格好をつけたがるからな。

 そして、きっと明日は風邪を引いて休むのだろう。

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