短編 道しるべ 十数年振りに父の郷里へ来た。区画整理されすっかり新しくなた道路に□□は戸惑う。大まかな方角を頼りに車を走らせると、不意に古くからある通りに行き当たりほっとした。公民館の在処を示す案内板は朽ちかけている。 元の米屋の角を曲がって、豆腐屋の三... 2022.09.19 短編
短編 日常1 或る朝 目覚まし時計代わりのスマホのアラームが鳴った。薄目を開けて周囲を見る。代わり映えのしない光景。半ば開いたカーテンの外はまだ薄暗い。古い磨りガラスの窓のおかげで、街の風景はいつでも滲んで見える。 スマホがアラームを鳴らし続ける。停止ボタンを... 2021.03.06 短編