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2019年11月9日読了
おそらく三回目の読み返しになるこの本。
大まかな流れは覚えていても、「蜘蛛」の正体はすっかり忘れていました。
以下ネタバレを含みます
あらすじ
世間を騒がせている目潰し魔を追う木場修太郎は、榎津礼次郎との共通の知人、川島新造にたどり着くも、川島は「蜘蛛に聞け」と言い残して行方をくらませる。
聖ベルーナ女学園では、「蜘蛛の僕」を名乗るグループが行う儀式において呪いの対象にした相手が絞殺魔によって殺されていく。
織作家は当主を失い、さらに娘の夫も絞殺魔によって殺害された。
目潰し魔と絞殺魔
これら背景も登場人物も異なる、全く別の事件と思われていた事柄が、「蜘蛛」を中心にして収斂していく事に引き込まれます。
目潰し魔と絞殺魔、どちらも猟奇的であり、それが同じ構図で起こっている点が読みどころと感じました。
作中人物はそれぞれ、自分が関わっている事件についてしか見えていません。
京極堂にしても、とても大きな「蜘蛛」の計画のうち、ごく一部しか見えていないと語っています。
それほどまでの計画を立てる「蜘蛛」の頭の良さに驚きました。
織作家の崩壊
織作家の、女性が繋いできた血筋について、確かに女性が子を産むのだから、女系は血のつながりを疑いようがないなと思いました。ただ、その血筋を守るための行為は、現代の私の目には「不特定の男との行為」に見えました。
最後は「蜘蛛」を残して織作家の人間は亡くなってしまいます。
「蜘蛛」にとっては家からの開放になるとはいえ、実に救われない結末だと思いました。